Lumière Ⅱ

リュミエール Ⅱ
 
リュミエール・ジャポン

〈リュミエール・ジャポン〉によるCD第2弾。今回あらたに4人演奏家が参加、それぞれが思い入れのある楽曲を収録しました。その結果として、有名曲だけでなく、隠れた名曲を発見できるかもしれません。ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、フルート、クラリネットと楽器もバラエティに富んでいて、前作同様、飽きることなく最後まで聴くことができます。将来性豊かな彼女たちのパフォーマンスに注目です。

アーティスト名 : Lumière Japon
CDタイトル : Lumière II
発売日 : 2022年3月16日(水)
価格: 3,300円(消費税込)
品番 : PCFL-0002
レーベル : Parfait Classics

収録曲 

 

千釜 有美子 (ピアノ)            

 ブラームス:ピアノソナタ第1番ハ長調 Op.1~第1楽章 アレグロ
 

河合 雪子 (フルート)    東海林 茉奈 (ピアノ)

 ベルトミュー:ロマンティック組曲
  Ⅰ. アレグロ・モデラート
  Ⅱ. ロンド 
  Ⅲ. メヌエット・グラーヴェ 
  Ⅳ. プレスト
 

山田 友里恵 (ヴァイオリン)   和田 華音 (ピアノ)

コルンゴルト:マリエッタの歌「私に残された幸せは」(歌劇「死の都」Op.12 より)
 クライスラー:「中国の太鼓」Op.3
 

齋藤 里菜 (ピアノ)

 シベリウス:「樅の木」Op.75-5
 リスト:「軽やかさ」
 

大川 遥 (クラリネット)   千釜 有美子 (ピアノ)

 シューマン:幻想小曲集 Op.73
  Ⅰ. 静かに、感情を込めて
  Ⅱ. 活発に、軽やかに
  Ⅲ. 急速に、燃えるように
 

加藤 菜生 (チェロ)

 J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調 BWV1009
  Ⅰ. プレリュード
  Ⅱ. アルマンド
  Ⅲ. クーラント
  Ⅳ. サラバンド
  Ⅴ. ブーレ
  Ⅵ. ジーグ
 

演奏者

千釜 有美子 (ピアノ)            
河合 雪子 (フルート)  
山田 友里恵 (ヴァイオリン) 
齋藤 里菜 (ピアノ)
大川 遥 (クラリネット)
加藤 菜生 (チェロ)

 

曲目解説

 

ブラームス:ピアノソナタ第1番ハ長調 Op.1~第1楽章 アレグロ

 
 この作品はヨハネス・ブラームス(18331897)の作品1となっていはいるが、実際はピアノソナタ第2番作品2やスケルツォ作品4よりあとに書かれた。第1,2楽章は18524月に、3,4楽章は1853年春にそれぞれハンブルクで作曲された。なお自筆譜には「ソナタ第4番」との書き込みがある。
 作品はベートーヴェンの影響、というよりも、彼のソナタに続くような風格と若いブラームスの溢れる情熱、そして晩年まで一貫した彼自身の作風をすでに感じることができる。そのスケール感について、シューマンは「変装した交響曲のようなソナタ」と称した。
第1楽章:アレグロ、ハ長調、四分の四拍子、ソナタ形式。冒頭の第一主題は、ベートーヴェンの「ハンマー・クラヴィーア」ソナタのやはり冒頭主題を思わせる。このモチーフは全楽章にわたって現れる。
 

ベルトミュー:ロマンティック組曲

 ベルトミュー(1906~1991)は、現代フランスの作曲家であり、詩人、劇作家、文筆家でもあった。ジョリヴェ、メシアンらと同じ世代的で、パリ音楽院に学んだ。フルート作品としては、3本のフルートのための「猫」や4本のフルートのための「エオリア組曲」、「アルカディー」などが知られている。
 「ロマンティック組曲」は4曲からなり、どれも非常に親しみやすい曲想をもっている。
  Ⅰ. アレグロ・モデラート
  Ⅱ. ロンド 
  Ⅲ. メヌエット・グラーヴェ 
  Ⅳ. プレスト
 

コルンゴルト:マリエッタの歌「私に残された幸せは」(歌劇「死の都」Op.12 より)

 
 エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(1897~1957)はオーストリアの作曲家で、幼少の頃より才能を発揮し、「モーツアルトの再来」と呼ばれ、10代でオペラを作曲しプッチーニから称賛を受け、マーラーからも天才と称された。
 1920年、23才の時に作曲したのが「死の都」で最近では多く上演されている。原作はジョルジュ・ローデンバックの小説「死都ブルージュ」で、それを元にコルンゴルトが父とともに脚本を書いた。このオペラにはマリエッタとパウルが歌う「私に残された幸せは」や「ピエロの唄」など、有名なアリアがあり、特に「私に残された幸せは」はソプラノのソロで歌われるほか、さまざまな楽器でも演奏されている。
 

クライスラー:「中国の太鼓」Op.3

 
 「中国の太鼓」は、オーストリアのヴァイオリニストであり作曲家のフリッツ・クライスラー(1875-1962)によるヴァイオリンとピアノのための小品。クライスラーは早熟の天才ヴァイオリストとして大変な人気を博したが、「愛の喜び」や「美しきロスマリン」など現代でも親しまれている多くの小品を残している。
 この「中国の太鼓」は彼がアメリカの中華街で、あるいは上海を訪れた際に着想した、といわれるが定かではない。しかし、エキゾチックな雰囲気を漂わせながらも彼特有のエレガントさも兼ね備えた実にオシャレな作品である。
 
 

シベリウス:「樅の木」Op.75-5

 
 この作品はフィンランドの作曲家、ヤン・シベリウス(1865〜1957)の《ピアノのための5つの小品》作品75の5曲目。
 シベリウスは交響的作品の作曲家であり、7つの交響曲のほか、有名な《フィンランディア》などを含む交響詩、あるいはヴァイオリン協奏曲などが有名であるが、それほど多くはないものの、ピアノのための作品も残している。
 《ピアノのための5つの小品》は標題に「ピヒラヤの花咲く時」「孤独な 松の木」「はこやなぎ」「白樺」そして「樅の木」とすべて樹木の名前があるために《樹の組曲》とも呼ばれる。
 「樅の木」はクリスマスツリーにも使われるが、常緑樹であることから「永遠の命」の象徴とされ、寒い大地で生き続ける力強い姿を静かに表現したようである。
 

リスト:「軽やかさ」

 
  この作品はフランツ・リスト(1811〜1886)の《3つの演奏会用練習曲》、第1曲「悲しみ」、第2曲「軽やかさ」、第3曲「ため息」のうちの第2曲。1848年頃の作品といわれている。3曲とも練習曲として高い技巧は要求されているが、それだけでなく、演奏作品としての趣も備えている。
「軽やかさ」はヘ短調、3/4拍子。流れるような軽やかさをもつ小品。
 

シューマン:幻想小曲集 Op.73

 
 ロベルト・シューマン(1810〜1856 )1849年に管楽器のために3曲の室内楽曲、《ホルンとピアノのためのアダージョとアレグロ 作品70
》、《オーボエとピアノのための3つのロマンス 作品94、そしてこの
幻想小曲集 作品73を作曲している。シューマンのドレスデン時代の後期で、このころは健康状態もよく、創作意欲も高い時期であったといわれている。
 当初、自筆譜には「夕べの小品集」 (Soileestücke) と題されていたが、出版に際し、「幻想小曲集」とされた。またシューマンにはほかにも幻想小曲集」という作品(ピアノ・ソロのための作品12、ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための作品88)がある。
この作品は3つの楽章からなる。

  Ⅰ. 静かに、感情を込めて イ短調、4/4拍子。
  Ⅱ. 活発に、軽やかに イ長調、4/4拍子。
  Ⅲ. 急速に、燃えるように イ長調、4/4拍子。
 

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調 BWV1009

 
 無伴奏チェロ組曲はヨハン・セバスチャン・バッハ(16851750)がケーテンの宮廷楽長を努めた頃、すなわち「ケーテン時代」の1720年頃の作品で、同時期には無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータなどの器楽曲、そして管弦楽組曲、ブランデンブルク協奏曲などの合奏曲も多く作曲された。
 無伴奏チェロ組曲は全6曲からなり、いずれも前奏曲とそれに続く5つの舞曲からなる。作曲当初は練習曲とされ、長い間忘れられていたが、近年チェロの巨匠、パブロ・カザルスが再発見して以来、チェリストにとって避けては通れない、聖典のような存在となった。
 第3番はハ長調の響きにより6曲中もっとも輝かしい響きをもっており、全組曲を代表しえる作品である。

  Ⅰ. プレリュード 4分の3拍子。
  Ⅱ. アルマンド 二部形式、4/4拍子。
  Ⅲ. クーラント 二部形式、3/4拍子。
  Ⅳ. サラバンド 二部形式、3/4拍子。
  Ⅴ. ブーレ 三部形式、2/2拍子。
  Ⅵ. ジーグ 二部形式、3/8拍子